◆「健康食品」の生産管理における課題や将来の展望を解説!
近年では、新型コロナウイルスの影響により健康志向が高まり、健康食品がますます注目を集めるようになりました。しかし、一口に健康食品といってもその定義や種類などはさまざまあり、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、健康食品をめぐる課題や今後の展望を考えるとともに、健康食品における生産管理のポイントと併せて、健康食品や医薬品、化粧品メーカーに特化したERP生産管理システム「JIPROS」も紹介します。健康食品OEMの生産管理や管理システムについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
健康への興味や関心が高まっている現代において、食品製造業は急成長しています。近年は新型コロナウイルス蔓延の影響で人々の健康志向がますます高まり、免疫力向上やコロナ太り解消に役立つ健康食品が注目されるようになりました。
では、そもそも健康食品とはどのような食品なのでしょうか。以下から詳しく見ていきましょう。
◇健康食品とは?
健康食品と呼ばれるものに、法律上の定義はありません。医薬品以外の日常の食品のなかで、栄養価が高く健康に良い影響を与えることを期待される食品全般を指して健康食品と呼んでいます。
健康食品には、3種類の「保健機能食品」のほかに、「いわゆる健康食品」と呼ばれる栄養補助食品があります。いずれも、厚生労働大臣が承認する医薬品と誤解されるような表記は法律で禁じられています。
◇3種類の保健機能食品とは?
保健機能食品の3種類は、以下のように区別されています。
◇需要の多い「特定保健用食品」の「今」と「これから」の方向性
2020年の特定保健用食品の市場規模は約5,600億円と、大きな規模を誇っています。だからこそ、特定保健用食品の有効性や安全性などについての情報は、消費者に正しく伝えられなくてはなりません。
こうした課題に取り組むべく、消費者庁では2010年に「第3回食品の表示に関する検討会」を開催しました。同検討会資料では、特定保健用食品制度への提案として、「一般消費者に理解しやすい保健用途の表示文言とする」が挙げられています。
このほかに「有効性や安全性、その他の品質にかかわる科学的情報を公開する」「国際的な流れに適応した用途の拡大」などの提案もなされています。
また、消費者庁は2020年から2021年にかけて、「特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する検討会」を開催しました。健康の維持増進への寄与が期待される食品を消費者が適切に選択できるよう、専門家から幅広く意見を集め、諸外国の事情も踏まえ議論されたものです。
検討会で出されたさまざまな意見を踏まえ、消費者庁では今後も必要な情報を収集しつつ、特定保健用食品制度全般について検討していくとしています。
■健康食品の実情と取り組み
健康食品をめぐっては、さまざまな団体が各理念に基づいて活動してきました。2009年には、「業界の意見を取りまとめて行政に提出する」「業界の自主的な取り組みを推進する」を役割とする「健康食品産業協議会」が発足しています。
以下からは、健康食品産業協議会発足までの健康食品団体の歩みおよび健康食品をめぐる取り組みを解説します。
◇健康食品団体の歩みと目的
まずは、健康食品団体の現在までの歩みを見ていきましょう。
引用:健康食品産業協業会「健康食品業界が抱える今後の課題に対する業界の期待と取り組み」
また、同資料では健康食品の安全性確保に必要な条件として、以下の5つを挙げています。
◇健康食品へのマーク表示制度
健康食品をめぐる取り組みとして、認定マーク・許可マーク制度も取り入れられています。
「JHFAマーク」は、健康食品に対して含有成分、安全・衛生面、パッケージ表示などの基準を設け、審査に適合した製品に表示できるマークです。日本健康・栄養食品協会により、1986年から開始されました。ハートを支える手をデザインしたマークは、見たことがあるという方も多いでしょう。
JHFAマーク認定制度には「協会会員以外への強制力はない」「すべてのアイテムを網羅しているわけではない」などの課題はあるものの、健康食品選びの判断基準にはなるでしょう。
健康食品に付されるマークには、JHFAマークのほかにも以下のようなものがあります。
◇健康食品の仕組みに関する期待と将来の展望
健康食品が消費者の信頼を得るためには、真面目な事業者への支援と、劣悪品を市場から排除する仕組みが欠かせません。その対策として、事業者の登録制や強制力のある法的対応などが進んでいます。
国民生活センターには、「インターネットで購入した健康食品を飲んで下痢をした」「病気が治ると言われ健康食品を飲んでいるが害はないか」などの相談が寄せられています。
こうした消費者の健康被害や不安を払拭するためには、すべての健康食品に関する科学的エビデンスの情報を、消費者にわかりやすく提供しなくてはなりません。消費者の理解と納得に向けた適切な対応は事業者にメリットをもたらし、健康食品全体のレベルアップにもつながるでしょう。
健康食品は、有効に活用すれば効果が期待できる一方で、さまざまな課題もあります。どのような課題があるのか、以下から詳しく見ていきましょう。
◇海外と日本との「健康食品」規制の違い
海外と日本では、医薬品や健康食品の規制が異なります。海外では医薬品として扱われていても日本では食品扱いされたり、米国ではサプリメントに該当しても、日本では医薬品として扱われたりするハーブや成分もあります。日本で医薬品に該当するハーブや成分は、食品には使用できません。
脳神経系への作用を指向するハーブのうち、日本で食品として扱われるものには、セイヨウカノコソウやイチョウ葉、セイヨウオトギリソウなどがあります。また、サラシナショウマ、インドジャボク、カバなどは、日本では医薬品として扱われます。
このような海外と日本の規制の違いは、海外の健康食品の取り扱いをより難しくしているといえるでしょう。
◇健康食品の健康被害報告と、対応策
ダイエット用健康食品をはじめとして、健康食品の摂取が原因と疑われる健康被害が多発しています。死亡や甲状腺機能障害、肝障害など重篤な事態に至るケースもあり、看過はできません。
特に、錠剤やカプセル状の製品には特定の成分が濃縮されていることから、品質の悪い製品や健康被害を起こす可能性がある成分を含む製品は、健康被害に直結するとされています。
こうした健康被害への対応策として重要になるのが、健康食品の製造管理および品質管理(GMP)の徹底です。
2005年2月、厚生労働省は「GMPガイドライン」を通知し、事業者に自主的で適切な製造管理・品質管理を行なうよう求めました。
しかし、GMPガイドラインはあくまでも自主的な取り組みであり、すべての事業者に浸透しているとはいえません。事業者の規模によっては、GMPへの対応が難しい場合があることも課題といえるでしょう。
◇健康食品の問題点と対策
健康食品やサプリメントの利用者は年々増えているものの、その定義はいまだはっきりしていません。臨床研究も遅れており、安全性や副作用などの情報が乏しいのが現状です。
健康食品に関する臨床研究が遅れているために考えられる問題点としては、以下が挙げられます。
こういった問題点が懸念されるなかでも、販売者側の情報を頼りに、「食品だから大丈夫」という気持ちで利用している人も少なくありません。
健康食品とはあくまでも、食事では足りない栄養素を補って、健康の保持・増進を図るためのものです。なぜ健康食品を利用したいのかをはっきりさせ、まずは食生活をチェックし、過不足になっている食品・成分がないかを調べることが大切です。
食品製造業において、健康食品はどのように管理すればよいのでしょうか。ここからは、おすすめしたい健康食品の管理システムと、未来への展望を紹介します。
◇M&Aという手段を選択する
日本の食品業界では、海外進出を視野に入れ、海外企業とのM&Aを行なう企業が増えています。健康食品市場の需要の高まりには多くの企業が注目しており、健康食品を製造する食品企業とM&Aを行なう異業種の企業が増加傾向にあります。
M&Aを行なうことで、買い手側は既存の事業領域の拡大や市場拡大、新しい拠点の確保といったメリットが得られるでしょう。一方で売り手側には、倒産や廃業を避け、従業員を守れるというメリットがあります。
◇健康食品に大切な在庫管理とおすすめの在庫管理方法
健康食品の在庫管理においては、「温度管理」「賞味期限管理」「トレーサビリティ」がポイントになります。
健康食品の在庫管理には特有の難しさがあり、製品に合わせて適切に管理しなくてはなりません。物流会社のアウトソーシングを利用したり、倉庫管理システム(WMS)や在庫管理システムを利用したりして、課題解決に取り組みましょう。
◇健康食品「OEM」は、消費者の救いの一手
OEMとは「元の(Original)・設備(Equipment)・製造(Manufacturing)」の頭文字をとったもので、他社ブランドの製品を自社設備で製造する企業を指します。
健康食品を製造するうえでは、在庫リスクや設備投資、維持費、人件費の増加などの課題が発生すると考えられます。これらの課題がネックとなり、自社ブランドを製造したくてもできなかった企業は少なくないでしょう。
こうしたさまざまな課題も、OEMを利用することで回避できると考えられます。それまで自社生産ができなかった製品も世に送り出せるようになることから、OEMへの新規参入が年々増加しています。
■健康食品の通販
新型コロナ対策の影響を受け、健康食品の通信販売は増加傾向にあります。しかしその反面、大きな課題も抱えているのが現状です。
第一の課題は「法規制の厳格化」です。オンラインショップで健康食品を扱いたいという企業は増えていますが、食品の取り扱いをめぐる法律は多数存在し、年々厳格化しているため、慎重に対応しなくてはなりません。
また、「品質管理の難しさ」も課題となります。健康食品には賞味期限が設定されており、安全確保のためにも期限切れには十分に注意しなくてはなりません。
このほか「在庫の適正量を維持できない」「定期購入に対応しきれない」なども、通販で健康食品を扱ううえでの課題となっています。
■「JIPROS」のサービス紹介
JIPROSは、GMP規制対応を必要とする医薬・化粧品・健康食品などのメーカー向けの生産管理(販売・生産・原価)パッケージです。
中堅プロセス(医薬・化粧品)製造業に必要な機能を標準装備したJIPROSは、現在多くの化粧品・医薬品・健康食品メーカーで導入いただいています。自社製品やOEM製造、併用型など多種な生産形態に対応しているため、健康食品製造におけるさまざまな課題の解決が可能です。
JIPROSは業種・業界に特化することで、業界特有の生産モデルに対応した機能を充実させてきました。製造現場の各業務プロセスにおいて、GMP管理をしっかりと支援します。
またJIPROSは、生産現場の3つ(計画・計測・改善)の「見える化」を実現します。これらの見える化が実現すれば、工場責任者や経営層の方の意思決定がより迅速に行なえるようになるでしょう。
さらに、ノウハウと業界知識が豊富なエキスパートによるスピーディーな導入や、責任を持った運用サポートもJIPROSが選ばれる理由となっています。
新型コロナウイルスの影響もあり注目を集める健康食品には、安全性の確保や適切な生産管理、通販での取り扱いなど、解決すべきさまざまな課題があります。
健康食品の生産管理にお悩みの企業は、M&Aや健康食品OEMの検討、生産管理パッケージの導入も視野に入れつつ、問題点解決に向けて歩んでいきましょう。
また、中堅プロセス製造業向けの生産管理に特化したJIPROSの導入も、ぜひご検討ください。