◆生産管理システムの機能や選び方、導入における注意点を解説
製造業において、生産工程の最適化は利益向上や品質維持に直結します。しかし、複雑な工程管理や原材料の調達、在庫の適正化を手作業で行うのは非効率であり、ミスのリスクも高まります。そこで活用されるのが生産管理システムです。
生産管理システムの導入により、業務プロセスのシステム化・効率化が進み、生産計画の精度向上、コスト削減、納期管理の最適化といったメリットを得られます。ただし、自社に適したシステムを選ばなければ、期待した効果が十分に得られない可能性がある点には注意が必要です。
本記事では、生産管理システムのおもな機能や選定ポイント、導入時の注意点について詳しく解説します。
生産管理システムは、製造業における生産活動全般を一元管理するソリューションです。製品の製造には、納期や在庫、工程、原価といった多くの要素が関係しており、それらの適切な管理が求められます。生産管理システムを導入すれば、これらの情報をリアルタイムで把握しながら、生産計画の調整や品質の維持、コストの最適化を図ることができます。
製造業の現場では、需要変動や部品調達の遅延、人員不足など、さまざまな課題が生じる可能性があります。手作業での管理には限界があり、情報の見落としやミスが生じることも少なくありません。生産管理システムを活用することで、こうしたリスクを低減しつつ、納期の遅延の防止、在庫管理の適正化、原価の最適化などを実現でき、業務全体の効率化と生産性向上が期待されます。
生産管理システムのおもな機能は以下のとおりです。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| 受注出荷管理 | 顧客から注文を受け出荷するまでを管理する機能 |
| 生産計画 | 「どの製品を、いつまでに、どれだけ生産するのか」を需要予測や現在の受注状況などをもとに計画する機能 |
| 在庫管理 | 材料や部品、製品などの在庫を管理し、在庫量を適正に維持する機能 |
| 所要量計算 | 製品の製造するための材料や部品の所要量を計算し、発注時期・発注数量を決める機能 |
| 購買管理 | 材料や部品の仕入情報を管理し、最適な仕入先や価格を決める機能 |
| 製造管理 | 製品の製造現場の作業工程を管理し、作業指示や作業報告などを可視化する機能 |
| 品質管理 | 検査結果などの情報を管理し、不良品発生の低減や品質の向上を図る機能 |
| 工程管理 | 製品が完成するまでの工程における進捗や工数などの情報を把握し、生産計画の達成程度などを分析する機能 |
| 原価管理 | 製造にかかった原価を算出し、目標値との差異を分析して利益改善を図る機能 |
生産管理システムでは、製造、品質、出荷など生産にかかわるあらゆる管理項目を効率化・最適化できる機能が備わっている多機能さも特長の一つです。
生産管理システムを選ぶ際には、さまざまな観点から比較・検討し最適なものを選定する必要があります。ここでは、生産管理システムを選ぶ際に重視すべきポイントを7つ紹介します。
◇自社の生産方式と合うか
製造業には、おもに以下の生産方式があります。
● ライン生産
● ロット生産
● 個別生産
● 見込生産
● 受注生産 など
上記の生産方式は、製品の種類や生産量、顧客の要望などに応じて使い分けられます。生産管理システムを選定する際には、これらの生産方式とシステムの適合性の確認が重要です。多くの生産管理システムは特定の生産方式に特化して設計されており、適合しないシステムを導入すると、使いにくさや期待した成果が得られない可能性があります。そのため、自社の生産方式と生産管理システムの特性を十分に理解し、最適な組み合わせを選ぶことが大切です。
◇業界・業種、企業規模と合うか
生産管理システムを選ぶ際は、自社の業界・業種や企業規模に適しているかを確認することが重要です。例えば医薬品・化粧品業界では、原材料の有効期限管理や品質検査機能が必要になります。一方、金属加工や自動車部品製造では数量・ロット管理機能が求められます。
また、大企業向けのシステムは多機能で拡張性が高いもののコストが高く、中小企業向けは導入しやすい反面、カスタマイズ性が限られる点も特徴です。
さらに、規制が厳しい業界ではコンピュータ化システムバリデーション(CSV)への対応も必要です。コンピュータ化システムバリデーションは、医薬品などの製造で使用されるシステムが信頼できるものであることを検証して文書化することを指します。コンピュータ化システムバリデーションの実施が必要なら、ベンダーから支援を受けられるかを確認することも大切です。
◇提供形態が合うか
生産管理システムの提供形態には、おもにクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。クラウド型は、インターネット経由で利用するサービス提供型(SaaS)で、初期費用を抑えつつ迅速に導入できますが、カスタマイズ性は限定的です。一方、オンプレミス型は、自社内にサーバーを設置して運用する個別導入型で、高度なカスタマイズが可能ですが、初期費用や運用コストが高くなる傾向があります。
初期コストを抑えたい場合や、リモートアクセスの必要性が高い場合はクラウド型が適しています。一方、生産形態や業務プロセスが複雑で、高度なカスタマイズが求められる場合は、オンプレミス型の導入がおすすめです。自社の要件やリソース、将来の拡張性を考慮し、最適な提供形態を選択することが、生産管理システム導入の成功につながります。
◇機能とカスタマイズ性が十分か
生産管理システムを選定する際には、自社の業務プロセスに必要な機能が備わっているか、カスタマイズ性が十分であるかの確認が重要です。生産管理システムは、クラウド型・オンプレミス型のいずれも、基本的な機能がパッケージ化されて提供されることが一般的です。そのため、導入費用を抑えるには可能な限り必要な機能が標準で搭載されており、最小限のカスタマイズで運用できるシステムを選ぶことが望ましいといえます。
◇ほかのシステムと連携できるか
生産管理システムを選定する際には、ほかのシステムとの連携性を重視することが大切です。生産管理システムは、販売管理や会計システムなどと連携させることで、ERP(Enterprise Resource Planning)として全社的な業務効率化を図ることが可能となります。
また、製造現場だけでなく、さまざまなシステムを利用している他部門の意見も取り入れてシステムを選ぶ必要があります。各部門の業務内容やニーズを把握し、全社的な視点で最適なシステムを導入すれば、組織全体の生産性向上につながります。ほかのシステムとの連携性を考慮した生産管理システムの選定は、業務効率化や利益改善に直結するため、自社の業務プロセスや他部門との連携を十分に考慮し、最適なシステムを選ぶことが大切です。
◇セキュリティの信頼性が高いか
生産管理システムは機密情報を扱うため、セキュリティの信頼性が高いものを選定しなければなりません。システム提供元のセキュリティポリシーを確認し、統一した対策が講じられているかを確認する必要があります。また、IEC62443やEDSA認証などのセキュリティ認証を取得しているかも評価のポイントです。さらに、アクセス制御、データ暗号化、定期的なセキュリティ診断などの対策が実施されているかを確認し、安全性の高いシステムを選定することが求められます。特にクラウド型システムの場合、データの管理体制も確認が必要です。信頼性の高いシステムを導入すれば、情報漏洩リスクを抑えられ、安全な生産管理を実現できます。
◇サポート体制が充実しているか
生産管理システムの導入や運用をスムーズに進めるためには、サポート体制が充実しているかを事前に確認することが重要です。システムの不具合や操作に関する疑問が発生した際、迅速に対応できる環境が整っていれば、業務の停滞を防ぎ、生産性の向上にもつながります。
サポート体制について確認すべき項目は以下のとおりです。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 種類 | 電話やチャット、メールなどから状況に応じて適切な手段を選べるかがポイント |
| 時間 | 24時間365日対応しているシステムであれば、深夜や休日のトラブルにも即座に対応できる |
| 対応範囲 | システムの操作説明やトラブルシューティングだけでなく、カスタマイズや機能追加の相談に対応しているかを確認する必要がある |
| コスト | 利用中にどのくらいのコストがかかるのかを事前に把握することで、想定外のコストの発生を回避できる |
上記の項目を通じてサポート体制を総合的に評価し、充実した対応が受けられるベンダーの生産管理システムを選ぶことがスムーズな運用と業務の効率化につながります。
製造業には、おもに以下の生産方式があります。
● 解決したい課題を明確化しておく
● 業務フロー・業務要件の整理
ここでは、上記の注意点について解説します。
◇解決したい課題を明確化しておく
生産管理システムの導入で成功するには、まず解決したい課題を明確にしましょう。課題の明確化の際には、まず自社の業務フローを詳細に見直し、各部門で抱える課題を収集します。これにより、現状の問題点や改善すべき箇所が浮き彫りになり、システムに必要な機能や特性が明らかになります。そして、各課題の優先順位を設定し、全体最適化を目指したシステム選定を行なうことが大切なポイントです。
また、課題を明確にすると、システムを提供するベンダーも必要なカスタマイズの範囲を把握しやすくなり、プロジェクトをより円滑に進行できるようになります。解決したい課題を明確にし、全社的な視点でシステム導入を進めることで、業務効率化や生産性向上といった導入効果を最大限に享受できます。
◇業務フロー・業務要件の整理
生産管理システムの導入を成功させるためには、現在の業務フローと業務要件の詳細な整理が不可欠です。業務フローの整理は、以下のステップで進めると効果的です。
● 現行業務の可視化
● 課題の洗い出し
● 新業務フローの設計
上記の流れで整理することで、生産管理システムを提供するベンダーに対して具体的かつ的確な要件を提示でき、最適なソリューションの提案を受けやすくなります。また、業務フローの整理においては、現場担当者へのヒアリングや実際の業務観察を通じて、現場の実情やニーズを正確に把握することも大切です。現場の声をしっかりと拾い上げることで、システム導入後の運用がスムーズになり、全社的な業務の最適化につながります。
業務フローと要件の整理は、システム導入の初期段階での重要なプロセスであるため、十分な時間とリソースを割いて慎重に進めることが、システム導入の成功につながります。
■製薬業や化粧品製造業の生産管理にはJIPROS
製薬業や化粧品製造業の生産管理システムなら「JIPROS」がおすすめです。JIPROSは、医薬品、化粧品、健康食品などの製造業向けに特化したERPシステムで、生産管理のみならず、原価管理や販売管理など、企業運営に必要な情報を一元管理できます。
特に、GMP(Good Manufacturing Practice)対応が求められる企業向けに設計されており、生産計画、購買管理、原価管理、売掛管理、買掛管理など、多岐にわたる機能を搭載しています。また、JIPROSは多様な生産形態に対応しており、受注生産、見込生産、混合型のいずれにも柔軟に活用可能です。
サービスの提供形態としては、個別導入型(オンプレミス・IaaS)を採用しており、企業の既存システムとのアドオンや連携にも対応可能です。さらに、医薬品・化粧品製造業をはじめとする豊富なシステム導入経験を持つエキスパートが、導入から運用まで責任を持ってサポートする体制も整っています。
JIPROSは、業界特有のニーズに応える機能と柔軟性を備えたERPシステムとして、医薬品や化粧品製造業の生産管理において有効なソリューションを提供している生産管理システムです。
生産管理システムは、製造業の業務効率化や品質向上を実現するために欠かせないツールです。特に、医薬品や化粧品、食品業界では、厳格な品質管理が求められるため、GMPに対応したシステムの選定が重要となります。生産管理システムの導入時には、解決したい課題を明確にし、業務フローを整理することが不可欠です。計画的な導入プロセスを経ることで、トラブルを防ぎながら、業務の最適化を図れるようになります。
生産管理システムのなかでも、JIPROSは医薬品や化粧品、食品業界向けに最適化されたERPシステムであり、生産管理だけでなく、原価管理や販売管理などの機能を一元管理できる点が大きな特徴です。また、GMP支援機能を備え、受注生産・見込生産・混合型といった多様な生産方式に対応できるため、業界のニーズに応じた柔軟な運用が可能です。ぜひJIPROSの導入をご検討ください。
執筆者 日本電子計算JIPROSセールスチーム