◆生産計画とは?製造計画との違いや立て方、効率化するツールを解説
生産計画は生産管理業務の一部で、製品をスムーズに生産するために必要なものです。生産計画を適切に策定・運用できれば、納期遵守や適正在庫の維持、品質向上などといった経営課題の解決につながります。
この記事では、生産計画の基礎知識や立て方の手順、4Mを意識した管理のポイント、効率化に欠かせないITツールの活用などについて解説します。
ここでは、生産計画の概要や混同されやすい製造計画との違いを解説します。
◇生産計画の概要
生産計画とは、製品の生産・製造に関するあらゆる活動をコントロールするための全体の計画です。日本工業規格(JIS)では「生産量・生産時期に関する計画」と定義されています。
適切な生産計画を策定することで、原材料調達から出荷までの工程を円滑に進め、納期遅延、部品や在庫過不足といったリスクを抑えることが可能です。
なお、生産計画の立て方は、採用している生産方式によって異なります。
見込み生産は、過去の生産実績や受注傾向をもとに、あらかじめ生産数や納期を決める生産方式です。これまでの実績から得た知見や受注に関するデータなどを用いて、生産計画を立案します。そのため、ある程度は販売量が予測でき、前もって製品を製造できる企業に適した生産方式です。
受注生産の場合は、顧客からの注文内容をもとに、製品の仕様や生産スケジュールを決めます。注文ごとに生産計画を立案するため、個別での対応が求められます。在庫を発生させず、必要なだけの製造コストで済ませたい企業に適した生産方式といえるでしょう。
◇生産計画と製造計画の違い
両者の主な違いは「視点の広さ」と「具体性」にあります。生産計画では、「何を、いくつ、いつまでに生産するか」といったことを、原材料の調達や生産工程、在庫などの範囲も含めて決定する「全体的な方針」です。
一方で、製造計画は生産計画をもとにして、おもに製造現場で「どのラインを使い、誰を配置し、どの順序で作業するか」など、より「詳細は実行指示」です。
生産計画には「押し出し方式」と「引っ張り方式」の2つの方式があります。
◇押し出し方式(PUSH型)
押し出し方式は、生産計画をもとに前行程から後工程へと製品を「押し出す」ように流していく方式です。
あらかじめ策定された計画に沿って作業を進めるため、管理がしやすいのがメリットです。
しかし、受注後に生産計画を調整できる仕組みではないため、急な受注減少などの変動に対応しづらく、余剰在庫が発生しやすいというデメリットがあります。
◇引っ張り方式(PULL型)
引っ張り方式は、顧客からの受注内容をもとに製造する「受注生産」のための方式です。後工程(最終的には顧客の注文)から前工程へものを引くように製造を指示するため、引っ張り方式と呼ばれます。
顧客からの受注に基づいて計画を立てるため、不要な在庫や無駄な製造コストをよくせいできるのがメリットです。
一方で、受注が入ってから生産計画を立てるため、スピーディな対応が求められる点や、急な注文にも応えられる生産体制の維持が必要な点などがデメリットといえます。
生産計画は、「大日程計画」・「中日程計画」・「小日程計画」の3段階に分けて立案するのが一般的です。ここでは、それぞれの生産計画の立て方を紹介します。
◇大日程計画
大日程計画は、一般的に3ヵ月から1年程度の全体的な生産の基本方針を策定します。具体的には、過去の実績や市場動向などをもとに、受注量や製造量、納品量を予測して立案するといった流れです。設備計画や人員計画、資金計画なども立案します。推奨される見直し頻度は、一般的に1〜3ヵ月に一度程度です。
◇中日程計画
中日程計画は、1〜3ヵ月程度の中期的な生産計画です。実際の受注内容に基づき、製造量や製造ペースを決めます。それに従って製造量を達成するために必要な人員配置や、原材料の調達計画なども立案します。毎週または毎月ごとに見直しを行なうのが一般的です。
◇小日程計画
小日程計画は、1週間から1ヵ月程度の期間を対象とした短期的な生産計画です。
製造にかかわる部門で「その日、誰が何をするか」という作業レベルまで落とし込んだ計画です。そのため、実際の作業は大日程計画や中日程計画ではなく、小日程計画に合わせて行なうことになります。
稼働できる生産ラインや人員などの生産能力、作業完了日などを細かく決めるため、小日程計画の立案には、製造に関する高度な知識や経験が必要です。
一般的に、日々の進捗やトラブルに合わせて毎日のように見直しを行なう必要があります。
効率的な生産体制構築のためには、適切な生産計画が必要です。ここでは、生産計画を立てるうえで欠かせない2つの視点を紹介します。
◇4Mを最適化する
4Mとは、製造における重要な資源である「Man(人)」「Machine(設備)」「Method(手順)」「Material(材料)」のことです。
・Man(人):製造のために必要な人員の数や工数、必要な技術などについて計画し、それをもとにシフトや人材の採用を決める
・Machine(設備):使用するタイミングや数量、稼働時間を考慮して、必要な設備を準備する
・Method(手順):作業方法や作業の順番・時間などを決める
・Material(材料):製品の生産に必要な原材料や部品の種類、数量、規格などを洗い出し、欠品なく準備する
これらの資源をバランス良く管理することが、計画をスムーズに実行できる鍵となります。
◇バッファを設ける
生産計画にバッファ(余裕)を設けることで、予期せぬトラブルや需要の変動への対応が可能になります。また、丁寧な作業や検査ができるようになり、品質が向上するなどのメリットもあります。具体的には、以下のようなバッファを設けておくとよいでしょう。
・在庫のバッファ:欠品を防ぐため、過去のデータをもとに、通常よりやや多めに在庫を持つ
・時間のバッファ:予定納期より前に生産が完了するよう、スケジュールを設定する
・能力のバッファ:人員や生産設備の稼働率に余裕を持たせる
ただし、過剰なバッファはコスト増を招くため、過去の実績データに基づいた適切なバランスで設定することが大切です。
ここでは、生産計画の効率化に使用されることの多いツールを紹介します。
◇ガントチャート
ガントチャートは棒グラフの一種で、作業工程や進捗状況を管理するために使用される図表です。縦軸(行)に設備や人員など資源の項目を並べ、横軸(列)に時間軸を記載します。そのため、各作業の開始時期や終了時期が視覚的に把握しやすいのが特徴です。
ガントチャートはExcelなどでも作れますが、専用のツールもあるため、それを利用する手もあります。直感的で使いやすく、多くのプロジェクトで使用されています。
◇PERT図
PERT図は、工程間の所要時間やつながり、経路など、生産に必要となる情報を視覚的に示した図表です。PERTはProgram Evaluation and Review Techniqueの略称です。
PERT図を使うと、生産に必要な全体の時間や、時間のかかる工程とそうでない工程が明確になります。時間がかかる工程はボトルネックになっている可能性があり、改善策が見つかれば生産時間の短縮にもつながるでしょう。
PERT図は作業の進捗管理にも適しており、複雑なプロジェクトを管理する際に便利です。
◇生産管理システム(ERP)
生産管理システムは、生産に関する業務を一元的に管理できるツールのことです。具体的には、生産計画の立案において必要な納期や在庫、工程、原価などの情報を管理します。
生産管理システムでは生産計画だけでなく、品質管理やトレーサビリティなど生産に関するさまざまな業務のサポートが可能です。生産管理システムを活用すれば、生産管理全体を効率化できるでしょう。
◇生産スケジューラ
生産スケジューラは、製品を製造するのに考慮が必要な人員や設備、時間といった制約条件を考慮して細かく生産計画を立案するツールです。効率的な作業順序をシステムが自動で導き出すため、資源の稼働率が向上し、リードタイム(各工程の開始から終了までの所要時間)の短縮につなげることも可能です。
JIPROSは、医薬・化粧品・健康食品などのメーカー向けの統合管理パッケージです。生産計画の立案をはじめとする生産管理の機能を搭載しているほか、原価や販売などを一元管理することも可能です。また、オプションとしてガントチャートや生産スケジューラのラインナップもあり、医薬・化粧品・健康食品の生産計画立案の効率化をサポートします。
JIPROSと生産スケジューラ連携事例については以下をご確認ください。
スケジューラ【Asprova】連携 - 製造業向け生産管理システムJIPROS
生産計画とは、製品の生産・製造に関する計画のことです。大日程から小日程までのフェーズに分け、4Mを意識した緻密な計画を立てることで、ムダのない生産体制が構築できます。
生産計画立案の効率化には、ガントチャートやPERT図、生産管理システム、生産スケジューラといったツールを使用します。昨今の目まぐるしい市場変化に対応するには、Excel管理から一歩進んだ「生産管理システム」の活用が不可欠です。精度の高い生産計画と業務の効率化を目指す場合には、ぜひJIPROSの導入をご検討ください。