◆EDIとは?基本概念から成功事例まで徹底解説

EDI(Electronic Data Interchange)は、近年の産業のデジタル化(DX)や在宅勤務の普及などにともない、各業界で導入が進んでいる技術の一つです。EDIを導入すると取引先とのコミュニケーションがスムーズになり、効率的な業務運営を実現できるメリットがあります。一方で、注意点があることも押さえておきましょう。
本記事では、EDIの基本概念や導入するメリットと注意点、成功事例を解説します。また、記事の後半ではEDI連携が可能で業務効率化に役立つ「JIPROS」も紹介します。EDIの導入をご検討中の方や、EDIについて理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
EDIは、企業間取引に用いる技術の一つです。ただし、一口にEDIといっても、その種類は多岐にわたります。したがって、導入を検討する際にはまずEDIの基本概念や種類を把握しておくことが大切です。ここでは、EDIの基本概念や種類について解説します。
◇EDIの基本概念
EDIは、企業や行政機関の取引で発生する帳票を電子化し、専用回線やインターネットを通じて自動的にやり取りする仕組みです。EDIの基本概念は以下のとおりです。
● 取引のデジタル化:注文書や請求書、納品書など取引に関連する帳票を電子データとして交換する
● 通信手段:専用回線やインターネットを利用して、取引先とのデータのやり取りを効率化する
● 業務効率の向上:手動入力によるミスの削減や、作業時間の短縮を実現し、業務の効率を高める
● 標準化:取引データの形式を標準化することで、異なるシステム間におけるデータのやり取りを可能にする
◇EDIの種類
EDIにはさまざまな種類があり、それぞれの特徴に応じて利用されています。代表的なEDIの種類は以下のとおりです。
種類 | 説明 |
---|---|
個別EDI | 特定の取引先ごとにカスタマイズされたEDIシステムを利用してデータをやり取りする方式 |
標準EDI | 標準化されたデータ形式を用いて、複数の取引先と同じ方法でデータをやり取りする方式 |
業界VAN | 標準EDIの一種であり、特定の業界に特化したネットワークを通じてデータをやり取りする方式 |
医薬品業界で用いられる業界VANの例として、「JD-NET」があります。JD-NETは、医薬品の流通に特化したEDIです。製薬会社と医薬品卸売業者との受発注業務を効率化し、医薬品の円滑な流通に寄与しています。

EDIは、独自の仕組みとデータ変換方式により、さまざまなデータをスムーズにやり取りできるのが特徴です。
ここでは、EDIの仕組みやデータの変換方式について解説します。
◇EDIでどのようにデータを伝送できるのか
EDIでデータを伝送する際には、各企業の情報システムが扱う固有のデータ形式を、ほかの企業と共通で利用できる標準形式に変換しなければなりません。この変換には「トランスレーター」と呼ばれるツールが使用されます。
まず、送信企業は自社の情報システムで生成したデータをトランスレーターで標準形式に変換し、専用回線やインターネットを通じて送信します。そして、受信側ではこの標準形式のデータを再びトランスレーターを使って自社システムに取り込める形式に変換し、処理を行なうのが一般的な流れです。
トランスレーターを通じたデータ形式の変換により、異なる企業間でもデータの円滑な伝送と相互利用が可能になります。
◇データの変換方式
EDIでは、データをやり取りする際に異なるシステム間での互換性を確保するため、データ形式の変換が行なわれます。データ変換には以下の3つの方式が利用されます。
変換方式 | 概要 |
---|---|
文字コード変換 | データの文字コードを変換し、異なるシステム間での文字データの互換性を確保する変換方式 |
レイアウト変換 | 「固定長形式」、「CSV形式」などのデータのレイアウト(項目の順番や形式)を標準化し、自社のシステムで表示できるようにする変換方式 |
データコード変換 | 企業によって異なる、商品コードや取引コードなどのデータコードを標準化し、データの理解と処理を容易にする変換方式 |
上記の変換方式により、異なるシステム間であってもデータを正確に解釈でき、取引を円滑に進められます。それぞれの変換方式は、データの正確性と一貫性を保つために非常に重要な役割を果たします。

EDIを導入するメリットは以下のとおりです。
● セキュリティ面の強化が図れる
● コスト削減ならびに業務効率化が実現できる
それでは、これらのメリットについてその内容を解説していきます。
◇セキュリティ面の強化が図れる
EDIを導入するメリットの一つは、セキュリティ面での強化が図れる点です。EDIを利用すると取引データを追跡できるようになるため、監査やコンプライアンスの観点からも役立ちます。また、不正な持ち出しやデータ漏洩のリスクにも迅速に対処でき、社内の内部統制をより強固にできます。
さらに、EDIではアクセス許可を得た人員のみがデータを取り扱えるように制御可能です。アクセス制御により情報漏洩のリスクを最小限に抑えられ、企業間でのデータのやり取りをより安全に行なうことができ、セキュリティ機能の強化につながります。
◇コスト削減ならびに業務効率化が実現できる
EDIを導入するとデータを電子化できるため、社内のさまざまな伝票・帳票などのペーパーレス化を促進できます。紙の伝票・帳票を保管する必要がなくなることにより、物理的なスペースや管理コストの削減も可能です。また、電子データとして保存されるため、必要な情報を簡単に検索でき、欲しいデータを迅速に見つけられる点もメリットの一つとして挙げられます。
さらに、郵送に関わるコスト削減は勿論、注文書や請求書等のデータが自動でシステムに取り込まれるため、手入力の必要がなくなり、効率化が可能です。
このように、EDIの導入により、さまざまな面から業務プロセス全体の効率化が期待できます。
EDIを導入する際には、以下のポイントに注意しましょう。
● 導入コストがかかる
● EDIの導入が適していない場合がある
ここでは、上記の注意点について解説します。
◇導入コストがかかる
EDIを導入する際には、システム構築費用や外部業者に依頼する場合の外注費など、初期費用が発生します。また、システムの維持管理や更新にかかるランニングコスト、取引先との相互運用のための調整コストなど、導入後も継続的に運用費用が発生する点にも注意が必要です。
◇EDIの導入が適していない場合がある
EDIは、すべての企業に適しているわけではありません。EDI導入が適していないケースは以下のとおりです。
ケース | 概要 |
---|---|
取引量が少ない | 取引先の数や取引頻度が少ない場合、EDIの導入コストに対して効果が少ない可能性がある |
小規模な企業 | 個人経営など取引の規模が小さい企業もEDIの導入に必要なコストやシステム運用が負担となる場合があり、必ずしも効果的とは限らない |
取引先がEDIに対応していない | EDIに対応していない取引先が多いと導入の効果が限定的となり、従来の方法との併用が必要になる |
このケースでは、EDIの導入によるコストや労力が効果に見合わないことがあり、ほかの方法を検討したほうがよい可能性があります。
上記2点の注意点を踏まえて、EDIを導入する際には、企業の規模や取引の状況を考慮し、初期投資および運用費用に見合う効果が得られるかといった長期的な視点で、自社にとって最適な手段を選ぶことが重要です。
JIPROSは、医薬品・化粧品・健康食品製造業向けの統合管理(販売・生産・原価)パッケージであり、EDIとの連携を行なうことが可能です。
JIPROSとEDIを連携することで、取引先から受け取ったデータを電子データとしてシームレスに取り込むことができ、業務プロセスの効率化が期待できます。
ここでは、JIPROSとEDIと連携した結果、業務効率化を実現した成功事例を紹介します。
◇導入事例:医薬品メーカー
医薬品メーカーであるE社は、国内外への医薬品供給の拡大にともない、事業規模の拡大を目指して全社統合システムの導入を検討していました。今後さらに業務を拡大していくなかで、見込み、受注、混合生産といった各生産形態への対応や、多品目の管理、欠品および過剰在庫の防止を目指し、新しい基幹システムの導入を決断。「JIPROS」を採用いただきました。
JIPROSの導入により、GMPを意識した基幹システムの構築と医薬品業界に特化したEDIであるJD-NETの連携を実現でき、業務の効率化に成功しました。
詳しくは、下記をご覧ください。
https://www.jipros.com/case/07/
EDIは、企業間でのデータ交換を効率化し、セキュリティ強化やコスト削減、業務効率化を期待できる技術の一つです。さまざまな業界でEDIの導入が進んでいる一方で、自社の規模や取引の状況によっては導入を慎重に見極める必要があります。
医薬品・化粧品・健康食品などの製造会社でEDIの導入を検討しているなら、JIPROSがおすすめです。JIPROSとEDIを連携することで、電子データをシームレスに取り込むことが可能です。その結果、社内のさまざまな情報の一元管理が可能となり、業務プロセスの効率化が実現します。JIPROSについて詳しく知りたい方は、お問い合わせページよりお気軽にお問い合わせください。